ハムスターはストレスに弱い生き物です。
野生の頃から弱い立場であり、周囲を警戒しながら生きてきました。
ペットとして飼われるようになってからも性格は臆病なハムスターが多く、少しの変化や刺激が多大なストレスを産むことになります。
ハムスターがストレスにさらされると、攻撃的になったり、体調を崩したり、最悪の場合死に至ります。
今回は、ハムスターのストレスの原因と行動、解消法について詳しく見ていきましょう。
ハムスターがストレスで死ぬ確率が高くなる理由
ハムスターの死因の一つとしてストレスがあげられます。
心拍数の増加
ハムスターは心臓の鼓動が早く、通常の場合で1分間に500回もの心拍数があり、300回もの呼吸を行っています。
ハムスターの寿命は約2年~2年半ですが、この間に15億回の心拍数があると言われています。
ハムスターがストレスにさらされると心拍数が上がり、呼吸が荒くなります。
寿命と心拍数
ハムスターが約15億回の心拍数で死を迎えるという事が生物学上判明しており、心拍数が通常よりも増加した分寿命が短くなります。
また、多くの死因としてあげられる心臓病や呼吸器系の疾患の原因にもなります。
他の動物と違い寿命が極端に短いため、ストレスによる心拍数の増加が寿命の短縮という形で表れます。
ハムスターが寿命よりも早く死んでしまった場合、その多くがストレスによる影響です。
合併症になる
ストレスを感じることで下痢や脱毛と言った症状が表れます。これは人間と同様のストレス反応です。
体調を崩すことで免疫力が低下し、風邪などのウイルス性疾患や糖尿病と言った合併症を起こしやすくなります。
病気が死因と思いがちですが、病気になる原因にストレスがある場合が非常に多いため注意が必要です。
ハムスターがストレスを感じる原因
ハムスターはどのような状況に陥るとストレスを感じるのでしょうか?
主な原因は8つあり、騒音、明るさ、臭い、振動、温度、過度な接触、視線、他のペットの存在です。
騒音がストレスになる理由
ハムスターは目が悪い分、耳と鼻が発達しています。
ハムスターの耳は人間の4倍の音域を聞き分けており、私たちが聞こえない音も聞こえています。
かすかな音でも刺激になるため、騒音にとても弱く、また電子機器の音も苦手です。
ハムスターを飼うときはできるだけ静かな場所にケージを置き、電子機器も近づけないようにしましょう。
明るさ・光がストレスになる理由
ハムスターは元々地下で暮らしていました。土を与えると夢中で掘り始めるのはそのためです。
過度に明るい状況が一日中続くと睡眠不足に陥るだけでなく、ストレスを感じやすくなります。
ハムスターは目が悪い生き物ですが、全く見えていない訳ではありません。
人間でいう極度の近眼で色覚もありませんが、明るさは感じています。
落ち着ける適度に暗い環境を作ってあげるようにしましょう。
臭いがストレスになる理由
ハムスターは周囲の臭いに特に敏感です。
ハムスターの鼻は鋭敏で、人間の40倍の嗅細胞があると言われています。
自分の匂いを縄張りに付けることでマーキングをしています。
餌の有無や周囲の状況も匂いを頼りに判断しているため、悪臭がすると異常と判断しストレスを感じます。
良くある例としては、消臭剤や芳香剤をケージの近くに置く場合や、トイレや床材が不衛生な場合です。
トイレや床材は定期的に掃除を行い、消臭剤や芳香剤はケージの近くには置かないようにしましょう。
周囲の臭いが変化するとハムスターは警戒するため、一定の環境を保つようにしましょう。
振動がストレスになる理由
ハムスターは水平で安定した環境を好みます。
私たちが地震で慌てるように、ケージが揺れたり傾いたりするとひどく動揺し緊張します。
良くある例としては、飼い主や同居人の足音がケージに振動として伝わる場合です。
足音と振動は、私たちが思っている以上にハムスターに伝わります。
特にケージを床に置くと振動が直につたわるためおすすめしません。振動が伝わらない棚か、緩衝材を下に置くようにしましょう。
温度・気温がストレスになる理由
ハムスターの適温は20℃~26℃です。寒くもなく暑くもない室温が適切です。
ハムスターは温度変化にとても弱く、低温になると疑似冬眠で死亡し、高温になると熱中症で死亡します。
室温が適温から外れると、ハムスターはストレスを感じ始めます。
脈拍数が増加するほか、免疫力も低下するため、温度は適温に保つようにしてください。
過度な接触がストレスになる理由
ハムスターの1日は、人間換算で30日~40日に当たります。
例えばハムスターと1時間一緒に遊んだとすると、人間でいえば丸一日以上全力で遊んでいることになります。これは完全に接触しすぎです。
過度な接触はハムスターを疲れさせるだけでなく、ストレスを与えることになります。
一日で遊ぶのは5分~10分程度とし、ハムスターが何かを要求した時に応えてあげる形で関わるのが理想です。
視線がストレスになる理由
ハムスターは人の目線を感じます。言い換えると、ハムスターは飼い主をちょくちょく観察しています。
何気なくハムスターの方を向くと、ハムスターがこちらを向いて視線が合うという経験をしたことがあると思います。
人間の動作音や臭いの変化、ぼんやりとした視界の変化を総合して判断し、目線を感じています。
ハムスターは野性の頃外敵から狙われる存在だったため、他からの視線はストレスになります。
飼い主に慣れてきたハムスターであれば問題ありませんが、買い始めの頃は特に視線に敏感です。
慣れるまではハムスターを見すぎない方が良いでしょう。
他のペットがハムスターのストレスになる理由
犬や猫と同時にハムスターを飼うと、ハムスターがストレスを感じやすくなります。
ハムスターにとっては他の動物は外敵です。
他の動物の匂いを感じると周囲を警戒し、ストレスを感じます。
野生の頃から外敵が多く、戦うすべをほとんど持たないハムスターにとって、他の動物は恐怖の存在です。
他のペットと同時に飼う場合は、同じ部屋では飼わないことをおすすめします。
ハムスターのストレス行動
ハムスターがストレスを感じるとどのような行動をするのでしょうか?
代表的な例として、人を噛む、物を噛む、震える、頬袋から餌を出す、逃げる・隠れる、鳴く、フリーズする、漏らす、顔を洗うといった行動をします。
人を噛む
ハムスターがストレスを感じると、攻撃的になります。
必死で逃げようとするほか、逃げられないと判断すると必死に噛み付いてきます。
噛み癖のあるハムスターは、ストレスを抱えているかもしれないと判断し、環境を見直すようにしましょう。
物を噛む
ケージ内に不満がある場合や外に出たい場合、ケージを噛み始めます。
ケージだけでなく小屋やトイレなどのグッズまで噛み始める場合もあります。
ケージを噛むと歯の不正整合にもつながるので、何がストレスの原因なのかを考えましょう。
震える
特に温度も低くないのにプルプルと震えている場合、恐怖を感じています。
ストレスにさらされている状況ですので、何におびえているのかを考え、原因を除去してください。
頬袋から餌を出す
身軽になって逃げるため、頬袋から餌を吐き出します。
この行動は特にハムスターが緊急事態と判断した場合にしか行わない行動です。
ストレス行動の中でも特にヤバい行動で、ストレス値はMAXに近い状況です。
餌の貯蔵場所以外で口から餌を出すのを見たら、危機的状況だと判断している原因を考えてください。
逃げる・隠れる・伏せる
人を見かけると逃げたり隠れたりする場合、その人にストレスを感じています。
逃げることで距離を取り、隠れることで身を守ろうとしています。
また身を伏せて歩いたりする場合も周囲を警戒している状態です。
もし全力で逃げたり隠れたりを繰り返す場合、何が原因で警戒されているかを考える必要があります。
鳴く
ハムスターは滅多に鳴き声をあげません。
ハムスターがストレスを感じると、「ジー」「ジッジ」といった鳴き声をあげます。
威嚇された場合は特にストレスを感じている状況です。もし威嚇された場合は、何が原因で威嚇されたのかを考えるようにしましょう。
フリーズする
急に固まり、動かなくなります。級に驚いた場合にみられるストレス行動です。
動きを止めて周囲を警戒している状況です。緊張状態にあり、ストレスを感じています。
ハムスターがフリーズしたら、何が原因でフリーズしたのかを考えて対処しましょう。
おしっこやうんちを漏らす
滅多に見られないストレス行動ですが、極端に驚いた場合にお漏らしをすることがあります。
極度に驚いた場合に極まれに起こるとされており、もし目の前でおしっこやウンチを漏らしたら、何が原因で極度に驚いたのかを考えてください。
顔を洗う
顔をクシクシする行動は、目・耳・鼻のメンテナンスをする動作です。
軽度にストレスを感じている状況で、周囲の警戒をしようかと考えている場合、顔をクシクシと洗う場合があります。
たまに見かける程度であれば問題ありませんが、頻繁に見かける場合はストレスを感じている可能性があることを認識しましょう。
ハムスターのストレス解消法
最後に、ハムスターのストレスを解消する方法について確認しましょう。
ストレスの原因を解決する
まずはストレスの原因を解決することが大事です。
一時的にストレスを解消したとしても、ストレスの根本を取り除かない限り、またストレスが溜まってしまいます。
ストレスの原因である、騒音、明るさ、臭い、振動、温度、過度な接触、視線、他のペットの存在について見直してください。
ハムスターの適温、ケージの置き場所、なつく方法の記事で詳しく解説しています。
ハムスターが喜ぶ事をする
ハムスターのストレス解消法を一言でまとめると「ハムスターが喜ぶ事をする」という事です。
嫌がる事をするとストレスを感じ、喜ぶ事をするとストレス解消になります。
具体的に何をすれば喜ぶのかを見ていきましょう。
おやつを与える
普段と違う餌をおやつとして与えるとハムスターは喜びます。犬や猫と同様です。
ハムスターにストレスが溜まっているかもしれないと思ったら、おやつを与えてみることをおすすめします。
ただし、甘やかしすぎるとペレットを食べなくなる場合があるので、極端に甘やかしすぎないようにしましょう。
与えるものが分からない方は、ハムスターの野菜をご覧ください。
ケージを広くする
ケージが極端に狭いとハムスターはストレスを感じます。
特にケージを噛むようであれば、外に出たがっている可能性が高いです。
その場合はハムスターが運動しやすいように、ケージを広くしましょう。
散歩に出す
ケージを広くしても外に出たがる場合、散歩に出してあげましょう。
周囲の縄張りを確認することで安心することができます。
なお外に出たがっていないハムスターの場合、散歩をさせる必要はありません。
回し車を置く
ハムスターにとって回し車は必須です。
回し車を置くことで運動を行う事ができ、ストレス解消になります。
ハムスターは夜5km~10kmもの距離を走り回ると言われています。
回し車が無いとこの距離を上手く走ることができず、小屋やグッズに衝突して怪我をしたり、肥満の原因になったりします。
回し車は必ず置くようにしましょう。サイレントホイールが一番メジャーでおすすめです。
砂浴びをさせる
ハムスターは地中で暮らしていた名残から、土が大好きです。
また砂浴びも同様に大好きで、砂浴びができる場所を設置すると大喜びで砂の上を転がります。
砂浴びはストレス解消だけでなく、毛並みや爪とぎにも良いため、設置したいグッズの一つです。
詳しくはハムスターのお風呂の記事で確認して下さい。
齧り木を与える
人を噛む場合や物を噛む場合、齧り木を与えるのも良いでしょう。
齧り木はストレス解消になるだけでなく、歯の伸びすぎを防止してくれる効果もあります。
詳しくはハムスターの歯をご覧ください。
床材を厚く敷く
床材を厚く敷くことで、ハムスターが潜って生活することができます。
ハムスターは地下に暮らしていたため、いつでも潜れる環境を好みます。
視線や音、臭いも軽減できるため、ストレスを感じにくくする働きもあります。
床材を浅く敷いている方は、床材をハムスターが潜れる深さまで厚く敷いてください。
ハムスターのストレスのまとめ
いかがでしたか?今回はハムスターのストレスについて見てきました。
今回のまとめです!!
1:ハムスターがストレスを感じると死ぬ可能性が高くなる
2:ストレスによる心拍数の増加で寿命が縮む他、合併症のリスクが上がる
3:ハムスターのストレスの原因は、騒音、明るさ、臭い、振動、温度、過度な接触、視線、他のペットの存在
4:ハムスターのストレス行動は、人を噛む、物を噛む、震える、頬袋から餌を出す、逃げる・隠れる・伏せる、鳴く、フリーズする、漏らす、顔を洗う
5:ストレスを解消するには、ストレスの原因を解決し、喜ぶ事をする
6:喜ぶ事とは、おやつを与える、ケージを広くする、散歩をさせる、回し車を置く、砂浴びをさせる、齧り木を置く
また次回の更新でお会いしましょう!!